2013年に初出展くださり、その後作品発表を豊かに続けて来られた飯野夏実さん。
実力を蓄えて、アニバーサリー展に二回目の出展を果たしてくださいます。
Q1
飯野夏実さんは「工房からの風」に、どのような作品を出品されますか?
A1
金彩色絵の磁器作品を出品します。
4分の3くらいはお皿やカップなどの食器、4分の1はアクセサリーや小物入れなど食器以外のものになります。
制作方法としては、箸置きやアクセサリーなどの小物以外、ほとんどのものがロクロ成形です。
上絵付け(本焼きが終わったあとに絵付をして800℃くらいで焼き付ける)がメインですが、下絵付け(素焼きの段階で染み込ませるように絵を描く)、和紙染め(下絵付けの一種で、筆で直接描かずに型紙に絵の具を染み込ませて模様をつける)、いっちん(土の絞り出し)、クエルダセカ(スペインの釉薬掛け分け技法)など、さまざまな装飾技法を取り入れています。
温かみのある白い生地に、私の大好きなお花模様や動物の模様を、華やかな色絵金彩で施したものが多いのですが、私のもうひとつのライフワークでもあるウクライナのピサンキ、西洋中世の装飾美術、イスラム建築の唐草模様、などなど世界中の私の好きなものからインスピレーションを受けつつ、20代半ばに絵付けの勉強をした京都の清水焼の影響もあるかな、という無国籍にミックスされた感じになってきたような気がします。
Q2
飯野夏実さんの工房の中で、特に大切にしている場所、あるいは部分、印象的な場所、空間、または、道具の写真を1カット撮ってください。
そして、その説明をお願いします。
A2
今年のはじめに埼玉県から台東区に引越しまして、新しい工房を作ったのですが、外から見ても楽しいアトリエになるように、窓下の腰壁のモルタル部分にモザイクを施しました。
色ガラスと大理石をランダムに割って組み合わせたブローチのようなパーツを70個ほど作っておき、壁に埋め込みました。
私も、左官をしてくれた職人さんも、こんなことをするのははじめてでしたので、かなり苦戦しましたが、なんとかスタジオカラクサらしい壁ができあがりました。
来年のゴールデンウィークにはオープンアトリエをしようと考えています。
ぜひ遊びにいらしてください。
Q3
飯野夏実さんが自作以外で、大切にされている、あるいは、愛用されている工藝品をひとつ教えてください。
A3
たくさんあって迷いましたが、一番よく手に取る工芸品を選びました。
津田清和さんのグラスです。
型吹きガラスのゆらぎの表情が好きで、適度な大きさとずっしり感も良く、ビールを飲むときはたいがいこれです。
精緻な加飾の作品を生み出す飯野さんの愛用の工藝品がすっくり端正な津田清和さんのガラス。
一見離れた表現のようですが、それぞれ完成度の高さのベクトルが近いのかもしれませんね。
飯野夏実さんの出展場所は、ニッケ鎮守の杜の中央あたり。
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